6月の映画鑑賞

6月1日が土曜日と重なったこともあり、この日を6月の映画鑑賞の日に決めた。5月はいろいろ予定が重なってしまい、映画館に足を運ぶことができなかった。なので、1ヶ月ぶりの映画館ということになる。今年は、ガンダム(1月、2月、3月)とコナン(4月)というラインナップ。

6月は何を鑑賞しようかと上映予定を眺めていたら「三日月とネコ」という作品に目が止まった。番宣で安達祐実さんが何かのテレビ番組で話をしていた記憶がうっすらとあった。そもそも、タイトルが良い。昔から、三日月とネコは相性が良いのだ(なんとなく、セーラームーンに登場する黒猫ルナを思い出す)。

作品の公式HPは、こちら
配給元は、あまり耳にしたことがない会社だった。
ちなみに、原作はコミックス(全4巻)。ウオズミアミさんという方が描いている。集英社の紹介ページは、こちら

大人のための少女コミックス「ココハナ」という雑誌に掲載されていたらしい。集英社なので、大人向けの「りぼん」みたいな感じなのかもしれない。原作がコミックスであることは、鑑賞後に知った。忙しくてHPを確認する前に映画館に行くことになった。そのため、予備知識は限りなくゼロに近い状態で鑑賞したことになる。それはそれでよかった。下手な先入観はない方が良い。特にこの手の作品は。
ホームページのURLを紹介しておきながら、勝手な話だけれど、作品を知らない方は、あえて事前学習なしで鑑賞するのも良いのでは。

ただし、一部、地震の描写がある。そこだけはご留意の上、劇場へ足を運ばれたい。

さて。
感想を少しだけ。
映画の主人公は、3人(2人の女性と1人の男性)とネコ(3匹)の、劇中の言葉を借りれば「ヘンテコな共同生活」の日常を悲喜交々にお届けする大人向けのファンタジー。

だが、作品を観た後には、2人の女性、1人の男性という括りは正しい表現ではないように感じた。それは、その3人以外の登場人物も、それぞれが主役であるような群像劇のテイストでもあるから、という理由もあるのだけれど、それだけではない。もちろん、映画の物語を構築する上では、安達祐実さん演じる灯(あかり)を主軸に据えてはいるのだけれど、それは便宜上の主人公であり、登場人物全員が主人公と言っても過言ではないように思えた。もちろん、ネコたちも主人公なのだ。

そういった(愛すべき)登場人物の面々を見ただけで、先述のように感じたわけではない。登場人物それぞれに現代社会を反映した、いわゆる少数派と呼ばれるようなところがある。そういうことを考えると登場人物を性別で括るのは適切ではないように思えてくる。

映画鑑賞の翌日、コミックス4巻をKindleで購入。半日かけて全て読んだ。部屋で読み、コインランドリーでの待ち時間に読み、また部屋に戻って読んだ。これは、部屋で読んだ方が良い。外で読んでいて思わず、うるっとしてしまった。コミックスの映像化なので、どの場面を映像化するか、どうやって2時間にまとめるか、とても悩んだのではないか。コミックスは、映画の尺の関係で触れられなかったそれぞれの登場人物の内面に触れることができる。映像化のため、多少の設定変更が見られるが許容範囲、というより、うまくアレンジされていた(誰ネコ目線)。

物語の舞台は九州、熊本。なので、原作の場面が映画の中でとても綺麗な風景として映像化されていた。原作は原作の良さがある。熊本の綺麗な風景、熊本城の姿も見ることができてよかった。行きたくなった。登場人物の話す、熊本弁もよかった。九州弁と括られることもあるけれど、例えば、熊本弁と福岡弁は、微妙に異なるらしい。ちなみに、母が福岡出身なので、その地方の方言を聞くとうるっとしてしまう。新型コロナの流行から、全然、会いに行けていない。風景と方言のおかげで、親戚に会いに行きたくなってしまった。

3人の主人公には、ネコ好きなところと、少数派と呼ばれるところをもつ共通点がある。少数派、というより、肩身の狭い思いすることが多い点、といった方が良いだろうか。その3人と3匹のネコたちのヘンテコな共同生活。仕事と恋愛と親のことと、日々の暮らしと。そうした悩みやストレスをネコたちに癒してもらいながら、どうにかこうにか過ごしていく姿を見ているうちに、なんとも言えず泣けてきてしまう。そこに暮らす、もう1匹のネコのような目線になってしまう。

場面場面で語られる台詞にも、はっとさせられるものがたくさんあった。一番、印象に残っているのは、「三日月は欠けているのではなく、満ちる途中」というもの。この台詞を聴いて「はぁぁぁ…」と涙腺に響いてしまった。なんとなく、シルヴァスタインの「ぼくを探しに」という絵本を思い出した。この絵本も、好きなもの。

この作品では、現代社会において「少数派」と呼ばれるような人たちが一生懸命生きている姿が見える。現実にはありえないという感想もあるかもしれないけれど、そこは映画なのでそれで良いと思えた。そういう世界があったらいいと思うし、そういう世界になればいいと思う。この映画、この作品のテーマの中に「多様性と、少数派の受容」というものが含まれているように感じられた。少数派を理解することが多様性につながるのではない。少数派を受け入れる(受容)ことが多様性につながることを、改めて教えられた。分からなくても良い、ただ、そういう人たちもいるよね、と受け入れる(排除しない)姿勢が重要なのだ。

そして、ネコは「かわいいの権化」。間違いなく。
劇中のネコたちの愛くるしい姿にも癒されること、間違いない。



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